もののけ姫

コスプレクイーン ー もののけの森の戦士、現る ー

町への到着

日産サクラが、緑に囲まれた静かな町へと入る。遠くには大きな森が広がるが、その一部は重機で削られかけている。

この町…なんだか、空気が張り詰めてる?

町の中心に近づくと、人々が何かを巡って口論しているのが見える。

この森がなくなったら、私たちの暮らしも変わってしまう!

でも、新しい工場ができれば雇用が生まれるんだぞ!

その場に、一人の少年が立っている。拳を握りしめ、必死に訴えている。

お願いだ! この森を壊さないでくれ!

申し訳ないが、これはもう決まったことなんだよ、坊や。

ケンタは悔しそうに唇を噛みしめる。その様子を見つめるコスプレクイーン。

ふふっ…なら、私の出番ね。

トランクを開ける。そこには、一式の衣装。彼女が手に取ったのは――

――もののけ姫!

もののけ姫、降臨

夕暮れ時。森の入り口に、一人の戦士の姿が現れる。

な、なんだ…!? あれは…

まるで…もののけ姫のサンみたいだ!

コスプレクイーンは、白いケープをなびかせながら、ゆっくりと前へ進む。鋭い眼差しが人々を射抜く。

この森は生きている。命が息づいている。お前たちはそれを壊してもいいと思っているのか?

な、何を言ってるんだ…? 森を壊すっていうのは、町のためでもあるんだぞ!

町のため…? なら、森を奪われる命はどうなる?

彼女はケンタを手招きする。

君は、この森でどんなものを見てきた?

鳥のさえずり、川のせせらぎ…夜になるとホタルが飛び交って、すごく綺麗なんだ! ここには、僕たちの知らない命がたくさん生きている!

そのケンタの言葉に、周囲がざわつく。

たしかに…この森の風景は、私たちの大切な思い出の一部でもある…

こんなに熱く語れるほど、大切にしてるんだな。

真実を知る

コスプレクイーンは静かに工藤を見つめる。

あなたたちの計画で、どれだけの命が失われるか、本当に理解しているの?

そ、それは…でも、町のためには必要なんだ。

コスプレクイーンは深く息を吸い込み、森へと足を踏み入れる。

森は話す。耳を澄ませば、わかるはずよ。

静寂が訪れたその瞬間――風が吹き抜け、木々のざわめきが響く。

まるで…森が泣いているみたいだ…

そんなこと、考えたこともなかった…

選ぶべき未来

工藤はしばらく黙っていたが、やがて静かに言葉を絞り出す。

…町のため、町のためとばかり思っていたが、本当にそれが正しいのか、考え直してみるべきかもしれないな。

その言葉に、ケンタの表情が輝く。

本当に!? ありがとう…!

コスプレクイーンは、ゆっくりと微笑む。

自然と人は共に生きるもの。正しい選択をしてほしい。

工藤は小さく頷き、町の人々も静かに決意を固めるように頷く。

旅立ち

夜の帳が降りる中、コスプレクイーンはサクラのエンジンをかける。

ありがとう! いつかまた、森を見に来てよ!

その時は、もっと綺麗な森になっていることを願ってる。

エンジン音が響く。サクラ色の車が、星空の下を駆け抜けていく。