アイ

嘘でもホントでも、輝いてみせる──コスプレクイーン、アイドルの瞳で真実を射抜く

町のダンススタジオ前・午後

日産サクラがゆっくり停まり、音もなくドアが開く。ステージ衣装のアイに扮したコスプレクイーンが降り立つ。キラキラと光が差し込み、どこか神秘的。

ふふっ…この町、舞台の空気がする。誰かが“輝き方”に迷ってるね。

スタジオの中

美波が1人で練習している。鏡の前で立ち尽くす。

どうしてあたしだけ…リズムが合わないの…?もうやめた方がいいのかな…

ドアがそっと開き、コスプレクイーンが入ってくる。

やめちゃうの?だって…アイドルは“嘘でも愛して”もらえるんだよ?

驚く美波。

本当のあなたを、誰かがちゃんと見てる。
だったら、ちょっとくらい不器用でも、“好き”でいればいいじゃない?

町のステージリハーサル

琴音が美波に厳しい指導をしている。場の空気がギスギス

だから違うって言ってるでしょ。美波のせいで全体が崩れるの!

その瞬間、クイーンがアイのように前へ一歩。

ねぇ、それってホントの気持ち? “嫌いだから”怒ってるんじゃなくて、“本当は一緒に踊りたい”んじゃないの?

琴音がぎくりと表情を曇らせる。

真由が真実を話す

裏で美波と真由。

ことね先輩ね…ずっとあんたのダンス、見てたよ。
“あんなに真っ直ぐな子が入ってきたら、負けちゃいそう”って。怖かったんだよ。

町のお祭りステージ・夜

ライトアップされた野外ステージ。クイーンもセンターに立つ。

アイドルって、嘘つきなんだってよく言われるけど、
その“嘘”で誰かが元気になれるなら、悪くないでしょ?

美波と琴音が手を取り合って立つ。

本当も嘘も関係ない!
あなたの“好き”が、ここから始まるってこと──それがステージ!!

音楽が始まり、全員で完璧なダンス!観客が熱狂し、涙する大人たちも。

ステージ後・帰りのサクラ

ライトアップが消え、クイーンがサクラのハンドルを握る。

私の“ウソ”が、誰かの“ホント”になるなら…
明日もまた、どこかで嘘つきアイドルをやってみようかな。

サクラが夜の街を静かに走り去っていく──