濫回凌轢ニヒロ

沈黙の刃、濫回凌轢──コスプレクイーン、町を裂く

曇天の町・夕暮れ

今日は空がやけに低い。
サクラ色のボディが濡れたアスファルトに静かに止まる。
ドアが開く音も、風に消えた。コスプレクイーン──今宵は、沈黙の“処理人”の姿。

……

クイーン、ロングコートと黒革の手袋をまとい、無言で町を歩く。

なんか…すごい気配じゃない?あの人。

学校の裏手

玲音が壁にもたれ、息を切らしている。制服が乱れている。

…また、誰も見てないふり…もう、どうすれば……

そのとき、影の中から一人の人物が現れる。

それは、“見てない”んじゃない。“見えない”ふりをしているだけ。

……誰?

濫回凌轢──処理の名の下に、無意味な暴力を“整理”しに来ただけ。

夜の校舎

楯岡たちが次の「遊び」を計画している。

明日もあいつにやらせようぜ。あの顔、マジウケんだけど。

電灯が一つずつ消えていく。ざわりと風が吹く。

君たちは、“力”の意味をはき違えたようだね。

教室のドアがゆっくり開き、ニヒロ姿のクイーンが無言で現れる。

な、なんだよ…コスプレか?ふざけてんのか──

瞬間、床に響く金属音。手にした“処理具”が鈍く光る。

これは、ただの演出。けれど、恐怖を知らない者に“理解”を与えるには、時に演技も必要だ。

翌朝・学校前

楯岡たちはなぜか無言で登校してくる。目を合わせない。

……昨日、何があったんだ?みんなやけに静かだな

町外れ・道の先

玲音、回想の声。

…あの人、何者だったんだろう。でも、あの夜以来、誰も手を出してこない。それだけで、十分だ。

名も告げず、何も語らず。ただ“処理”して去る。
その姿は、まるで影──だが確かに、ひとすじの光でもあった。


次回予告「恋も戦場!?ハート全開☆キュアミラクル大作戦!」