ボタン付けは魔法の証!
放課後の裁縫部。ひまりはいつものように席につき、机の上に並べられた小さなボタンを見つめていた。
今日はボタン付けをやるんですよね?
ええ。ボタン付けは、洋服やバッグにも使われる大事な技術よ
田村先生は微笑みながら、色とりどりのボタンと布を用意した。
ボタンって、ただ糸で縫い付ければいいんじゃないんですか?
ふふ、それが意外と奥が深いのよ。さっそくやってみましょうか
先生は針に糸を通し、まずは布の裏から針を出す。
まず最初に、ボタンを付ける場所を決めて、針を通すの。そして、ボタンの穴に針を入れて……
ひまりはじっと先生の手元を見つめる。針がボタンの穴を通り、再び布へと戻っていく。
これを何回か繰り返して、しっかりと固定するのよ
なるほど~。じゃあ、私もやってみます!
ひまりは布の裏から針を通し、ボタンの穴へ慎重に針を入れる。しかし――
うわっ、針がなかなか通らない!
手元がぐらつき、ボタンがずれてしまう。
最初は難しいかもしれないけれど、コツは”糸をピンと張ること”よ
先生は優しくアドバイスをする。ひまりは深呼吸して、もう一度ゆっくりと針を動かす。
よし、通った!
ひまりが何度か糸を通し、ボタンが固定されてきた頃、先生がふと問いかけた。
ところで、ひまりちゃん。ボタン付けのときに”足”を作ることも大事なのよ
えっ、ボタンに足があるんですか!?
ひまりは思わずボタンを見つめる。
ふふ、ボタン自体にはないけれど、糸で少し高さを作ることを”足をつける”っていうの
先生は最後のひと針を通したあと、ボタンと布の間に糸を巻きつける。
こうすることで、ボタンがぴったり張り付かず、服の生地が引っ張られずに済むのよ
へぇ~!確かに、ボタンがぎゅうぎゅうだと服のボタンホールに入れにくいかも!
ひまりは納得しながら、自分のボタンにも”足”を作る。
じゃあ、最後に玉止めをして……できた!
ひまりは自分のつけたボタンをじっと見つめる。
……なんか、ボタンってすごく大事なものですね
どうしてそう思ったの?
だって、ボタンがなかったら服がちゃんと閉まらないし、外れたら着られなくなっちゃう。ボタンって、服を”つなぐ”ものなんですね
先生は優しく頷いた。
その通りよ。ボタンは、服と服をつなぐ大事なパーツ。そしてね……
先生はひまりのボタンをそっと指さす。
裁縫も、人と人をつなぐことができるのよ
……!!
ひまりの胸がドキンと高鳴る。
(私も、誰かをつなげるような服を作れるようになりたいな)
そう思いながら、ひまりはボタンをそっと撫でた。
次回予告
次は”まつり縫い”に挑戦!?スカートのすそ直しもできるようになるよ!
皆も、ひまりと一緒にボタン付けを練習してみてね!