まつり縫いとスカートの魔法
ひまりは教室の中央で、裁縫道具を広げている。周りには静かな空気が流れ、彼女の手元に集中する音だけが響いている。
今日は、まつり縫いか…
先生の優しい声が響く。
まつり縫いは、縫い目が目立たないようにする技法よ。これを使うと、スカートやシャツの裾がきれいに仕上がるわ。
ひまりは最初、少し不安そうに針を手に取る。
まつり縫いは繊細で難しそう
しかし、先生の優しい指導でひまりはだんだんと手つきが慣れてきた。
ひまりさん、針を小刻みに動かして、布の裏側に少しだけ引っ掛けるのよ。
こうかな…?
ひまりが一針、一針、まつり縫いを進める度に、布がきれいに整っていく感覚に、だんだんと自信を持つ。
できた…!ちゃんと縫えた!
とても上手にできてるわ。まつり縫いは、服の仕上げにも使えるし、ひまりさんならきっともっと上手になるわね。
ひまりは満足そうに微笑みながら、まつり縫いをもう少し練習することに決めた。
ひまりの制服の裾直し
その日の放課後、ひまりは自分の制服のスカートが少し長すぎることに気づく。普段は気にしていなかったけれど、今日の裁縫部での練習が頭をよぎる。
ちょっと裾を上げてみようかな。
ひまりは制服のスカートを広げ、まつり縫いで裾を少しだけ短くすることにした。スカートの端を丁寧に縫い進めながら、思い出す。
まつり縫いでこんなにきれいに仕上がるんだ…!
そのまま、ひまりは慎重に針を進めていく。時間が経つにつれて、スカートの裾が少しずつ整っていく。
スカートの裾を短くしたひまりは、鏡の前に立ってその仕上がりを確認する。いつもの膝下スカートより少しだけ短くなった。
わぁ、ちょっとだけ大人っぽく見えるかも…!
その変化に嬉しさと少しの誇りを感じるひまり。まつり縫いの技術が、ただの裁縫の手順を超えて、彼女自身の自信に変わったことを実感する。
これから、もっと色んな服を作ったり、直したりできるようになりたいな!
エピローグ
翌朝、ひまりは制服を着て鏡の前に立つ。昨日、自分で裾直しをしたスカートは、ほんの少し短くなっていて、歩くたびに軽やかさを感じた。
…いい感じかも!
翌日、ひまりは少し緊張しながらも、自信を持って制服を着て学校に向かう。
ひまり、そのスカート、なんかいつもより可愛くない?
学校に向かう途中、友達の美咲(みさき)と莉奈(りな)が駆け寄ってきた。
ほんとだ!ちょっと短くなってない? いい感じ~!
えへへ…実は昨日、自分で裾直ししたんだ!
えっ、すごい!ひまりって裁縫できたっけ?
最近、裁縫部でちょっとずつ覚えてるの!
へぇ~、自分で制服直せるなんてカッコいいじゃん! 私のもやってほしいかも~!
友達に褒められて、ひまりは少し照れながらも嬉しそうに微笑んだ。まつり縫いで裾を直しただけなのに、ちょっとだけ自分に自信がついた気がする。
…なんだか、裁縫がもっと楽しくなってきたかも!
ひまりは新しい制服姿で軽やかに歩きながら、今日から始まる新しい自分にワクワクしていた。これからもっと裁縫を上手になりたいと心の中で誓うのだった。
このエピソードでは、ひまりがまつり縫いを覚え、それを実生活で活かして自分の制服をアレンジする成長を描きました。裁縫の技術が、ひまりの自信を深め、次のステップへと進む力になる様子が読んでいるあなたにもきっと伝わっていることでしょう。