月野うさぎ

コスプレクイーン 月にかわって、お助けよ!

町への到着

日産サクラが商店街を抜け、小さな広場に滑り込む。夕暮れ時、街灯が灯り始める。

この町もなかなか雰囲気あるわね…でも、なんだか空気がピリピリしてる?

広場の隅、ミサキが数人の不良に囲まれている。

おいおい、ちょっとぐらい付き合ってくれたっていいだろ?

や、やめて…!

そこまでよ!

不良たちが驚いて振り向く。

あんた、誰だよ?

私はただの旅人よ。でも、困ってる子を見過ごせるほど薄情じゃないの。

へぇ、じゃああんたが代わりに付き合ってくれるって?

そんな暇、ないのよね。だって――私は……

トランクの中には、美しいセーラームーンのコスチューム!

(颯爽と衣装に着替え、髪をツインテールにまとめる)月にかわって、お仕置きよ!

セーラームーン、降臨!

不良たちがポカンとする。

え、なにその格好…?

美少女戦士セーラームーン! 町の平和を守るため、今ここに参上!

ミサキが驚きつつも、思わず笑ってしまう。

すごい…本当にセーラームーンみたい…

な、なんだよ、ふざけてんのか?

ふざけてるのはどっちかしら? 弱い者いじめなんて、最低よ!

不良たちが動揺し始める。

…なんか、すげぇ迫力あるな…

くっ…おい、やるぞ!

不良たちが動き出そうとした瞬間――

やめろ!!

広場の反対側からショウタが駆け寄る。

おまえら、ミサキに何してんだよ!

ショウタ…!

不良たちが焦り始める。

ヤベェ、こんな人だかりできてきた…

周囲の商店街の人々も、騒ぎに気づいて集まり始める。

さて、どうする? こんなに注目されちゃったら、もう逃げるしかないんじゃない?

不良Aが舌打ちしながら

チッ…もういいよ! 行くぞ!

不良たちは慌てて立ち去る。

心を開くミサキ

ありがとう…

無事でよかった…ごめんな、俺がもっと早く気づいてれば…

ううん、もう大丈夫…セーラームーンが助けてくれたから。

コスプレクイーンが笑いながら

戦う女の子は強いのよ。

ミサキがふと真剣な顔になり

私も、変わりたい…セーラームーンみたいに、強くなりたい!

コスプレクイーンが優しく微笑み、ミサキの肩をぽんっと叩く。

きっとなれるわ。だって、あなたの中にも“月の光”はあるもの。

旅立ち

日産サクラに乗り込み、コスプレクイーンがエンジンをかける。

月の光は、暗闇を優しく照らす…今日もまた、一つの心が輝いたみたいね。

ミサキとショウタが手を振る。

ありがとう、セーラームーン!

月にかわって、また会いましょう♪

夜の町に向かって、サクラが走り出す――

コスプレクイーンの絵画を買おう。